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岩城信嘉と知己になってから既に20年近くになる。私が富山県展の主任審査員として招かれた折、その会場で彼の作品を見たのが最初の出会いであった。彼の作品はその頃から石と鉄の結合を試みて居り、石と鉄と云う異質な素材をドッキングし相剋させた仕事は、当時としては極めてユニークであり、傑出していた。彼は其の後飽くことなく営々と石を刻み、石と云う重く堅い素材との係わりの中に自らを見出して来たが、石を織り石と語らうと云う体質のフォスターには、石工の頑なさと自由詩の心とが共存し、それが造形の哲理と結合する。
岩城の作品の一つの重要なコンセプトは造形の対位である。彼は、石と石、石と鉄、石と空間と云った相対的な関係の中に或る厳粛な場を設ける。例えば、去年の秋行動展に出品した作品は、直角に折りまげられた部厚い鉄板を貫く円筒状の石による構成であったが、此のプライマリーなストラクチャーには、動かしがたい造形の基準と、その基準を超える生動があった。素材の相剋による物力論と云おうか……。また、最近の作品では、鉄パイプと鉄板との方形な組み合わせによる空間造形がある。私は、其の作品の虚のスペースに、消去された量塊のネガティブな存在を感じた。巨大な石塊の残像とでも云おうか……。消去する事によって消滅することのない彼の追求の軌跡である。 1978年 ←RETURN |
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